吉村敏治展 -陶変異体-
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吉村さんの作品は陶や金属立体によるインスタレーションです。歯車、ロープ、プロペラ、バイオリン、釣鐘、天秤、白い手のかたちなどを、ちょっと謎めかして構成し、濃密で独特な雰囲気の迫力ある空間をつくり出します。 重厚な金属や古い木材、大理石の質感がリアルに表現されていますが、金属だと思ったものが陶であったり、陶だと思ったものが既成の工業製品の一部であったりと、その境界は曖昧です。それは吉村さんの素材への逆説的な問いかけからきています。 吉村さんは未だ30代の若手作家ですが、大学で初めて陶という素材に出会い、そこに好きだった絵画やデザインの要素を加えて、陶板に絵を転写したり、工業製品の一部を付けたりして、現在のスタイルになりました。例えば、石や金属のイメージを持って土に触り始めても、そのイメージに似せてつくるのでなく、土の特徴を活かした石や金属になるのだと話します。石なのか土なのか、ひとめで答えがわかりそうなものはつくりださない吉村さんは、へそ曲がり屋さんのようですが、先入観や固定観念にとらわれないスタンスを大切にしています。ピエロ・デラ・フランチエスカやバルテュスをトレースした時期もあったというように、古い屋敷や蔵の扉を開けた瞬間に薫るような、古びた表情や懐かしいかたちが持つ妖しい魅力のある作品です。これまで京都を中心に選抜展などで受賞してきました。今展が吉村さんの2回目の東京での発表となります。 |
「訪問者」(陶)
「光のさす場所」(陶)
手前より「永い道のり」「悪戯」
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