
タイルは、建築物とともに歴史を歩んできました。最も古い建材である日干しれんがは、紀元前7000年頃に登場しています。中近東のメソポタミア地方の大河の川底やその周辺で採れる粘土を使って作られ、これを積み上げて宮殿や邸宅を造りました。雨風によって崩れ落ちても、また新しい日干しれんがを作って建物を造るということを繰り返しました。
やがて、火によって焼き固めると丈夫なれんがを作ることができると判ると、いわゆる焼成れんがを積み上げた建物が作られます。
土色の建物に物足りなさを感じた当時の人は、れんがの表面にさまざまな色をつけて焼くことをおぼえます。紀元前7世紀頃のアッシリアの神殿に、スフィンクスの図を彩色したれんがが使われました。
その後、7世紀にイスラーム教が興りました。イスラーム教は、崇拝の対象となる像をもたないので、寺院(モスク)は、神の世界を再現するかのように建物の内外をアラベスク模様やアラビア文字をデザインしたタイルで埋め尽くしました。色も青、水色、緑、黄、赤、金、紫と非常にカラフルになりました。しかし、当時タイルが使われたのは、宮殿、廟、モスクなどの権力者の建物と、病院、宗教学校、商人宿、浴場などの公共建物だけでした。高価で貴重な建築装飾材料だったのです。
8世紀に中国との戦いで中国の陶芸技術が伝わると、イスラームの陶工たちはそれを模倣する中でさまざまな技法を発明していきました。褐色の土で作るタイルを錫釉で白く化粧して、さまざまな色釉を掛ける白地多彩の錫釉陶器や金属光沢を持つラスター彩陶器がつくられました。
この技法はその後、イスラーム教の勢力拡大とともに、スペインからヨーロッパ各地に伝播し、中国・日本やヨーロッパ大陸内で互いに影響を及ぼしあっていきました。