|
写真:「凍結乾燥標本」のキノコ。凍結乾燥標本はもとの状態に近い形・色が残るため、博物館ではこの方法で長期保存を行っている。 所蔵/大阪市立自然史博物館 撮影/杉原正樹
写真:富士樹海でのベニテングタケ。 日本のベニテングタケはカバノキの仲間と共生し、これらの樹木の生える森にのみ発生する。 撮影/菅野秀明
写真:『モリュンソン地方の大型菌類図譜』(ジャン・ルイ・リュカンドほか 1869〜71年 フランス)よりベニテングタケ。 図版撮影協力/千葉県立中央博物館 撮影/杉原正樹
|  |
地上の生命、地中のうごめき
光と闇の世界を行き来する
キノコを巡るワンダーランド
キノコについて、私たちは知っているようで、実は知らないことが多いようです。 キノコは植物でも動物でもなく、菌類という微生物です。普段私たちが「キノコ」と呼んでいるのは、子実体(しじつたい)という胞子を作るための生殖器官であり、植物でいうところの「花」にあたります。さらに、キノコの生命活動のほとんどが、地上の花部分から地中に張り巡らされている菌糸によって担われている事実も驚きです。 およそ4億年前から活動しているキノコですが、現在も科学的に解明されていないことも多く、それゆえその存在の虜になる人は少なくないと言います。今展では、神出鬼没で摩訶不思議なキノコの世界を、キノコに魅入られた人々の視点で多角的に考察し、多彩な働きやその魅力を紹介します。
キノコは植物や動物の死骸や排泄物を分解して、土に還す役割を果たし、同時に植物や動物から栄養をもらって彼らと共生しています。このキノコによる分解・還元作業が、森をつくり育てるといった自然の営みを支えているのです。また、その愛らしい姿は胞子をより遠くへ飛ばすため形成されたかたちだったこともあまり知られていません。はっきりとは目に見えないキノコの生活やくらしを改めて考えてみると、私たちの気付かない新しい発見をもたらしてくれるのではないでしょうか。
人間界にも通じる哲学や世界観など様々な表情と可能性を秘めたキノコ。食べるだけでなく、見て調べて考えることによって、新たな面妖性や多様性を感じていただく機会となれば幸いです。
今回の展示・取材にあたり、関係の方々に多大なるご協力を賜りました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。
[企 画]
INAXギャラリー企画委員会
[制 作]
株式会社INAX
[協 力] 飯沢耕太郎、池田良幸、大阪市立自然史博物館、小寺祐三、佐野書店、仙台市科学館、千葉菌類談話会、千葉県立中央博物館、西尾製作所
BOOKLET
『考えるキノコ -摩訶不思議ワールド-』
2008年12月刊行
本文75ページ(カラー36ページ)
定価:1575円(税込)
INAX出版
|