藤井さんの作品はタテヨコ1〜2mの格子状の内部を持つ大きな陶のオブジェです。窓のたくさんあるビルディングのように、ブロック状や格子状の構造部分が露出し、それを包む外側は、白い泡の弾けた痕跡に覆われた淡いベージュ色の肌の壁で、地層の一部が空中に露出した状態のようにも思えます。 すべて手練りでつくられていますが、大きな作品は紙の図面の上で幾度も計算し、土で全体を完成させた後に、パーツに切リ分けて焼成して再度ジョイントするため、手づくりロボットのようにつぎはぎだらけで素朴さを感じさせます。 大きさや幾重にも重なる複雑な構造部分から、やきものとは思われずに既存の材料や構築物をベースに制作された作品と思われることもあり、迫力があります。 大きな作品はそれだけで存在感や威圧感を与えますが、柔らかさと強さをあわせ持った藤井さんの作品は、大きな木のように大きな土壁のように、私たちの側に存在して安らかな気持ちにさせます。 藤井さんは照明デザイナーからやきものの世界に入りました。舞台美術や演出、商業建築のライトアップをしているうちに、すべてを自分の手でつくりたいというものづくりの欲求が起こり、陶芸教室の門を叩きました。興味は広範囲で、やきものの性質を愛しながらも、やきものにとらわれることなく自分サイズの作品の制作を目指しています。 まだやきものの入口に立ったばかりですが、経験の生きた空間構成の美しい作品を展示します。今展では高さ130cm、長さ220cmのオブジェ1点が登場します。会場でまわりをグルグルまわって、藤井さんの世界を体験してみて下さい。 |
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