牡丹靖佳 展
- 見立て・たくらみ・壺中の術中 -
会期 : 2004年10月1日(金)〜10月27日(水)
休廊日 : 日祝日
■ アーティスト・トーク ■ |
牡丹さんの作品は、絵画作品と、それを空間に取り込んだインスタレーションです。例えば、2004年のトーキョーワンダーサイトで開催された個展では、入口は小さなくぐり戸につくり変えられ、そこを通り抜けると一見してどこに作品が展示されているのかわからない、異界に入ったようであり、一つの作品は消火器ブースやその壁が増殖した建物の構造の1部に埋もれているという具合で、見立てやたくらみといった独特のユーモアが、歓迎の挨拶のように仕掛けられた、作品に導かれて行く展示でした。 牡丹さんは、2001年に当ギャラリーの公募展「予兆のかたち」で短期の個展を開催しました。その時は「INAX文化推進部エンピツ課」というタイトルで、私たちギャラリースタッフが働くオフィスを牡丹流の想像でつくりあげ、画廊内にスチールのデスクや事務椅子がならび、デスクの引き出しや書棚はもちろん、電話機やごみ入れに至るまで、かすかで思いがけない仕掛けをたくらみました。だまされるというよりは、意表をつかれ思わず笑みがこぼれる体験に大人のセンスとエスプリが感じられました。 そうしたインスタレーションに組み込まれる牡丹さんの絵画作品は、肌色のようなベージュを背景に朱や白、墨色を用いて描かれます。余白を広くとった構図には日本画や屏風のようなイメージもあります。「ピィ=ズラー」という作品では、1羽の小鳥が画面半分に大きく描かれていますが、よく見ると小鳥の顔がピカソのキュビズム時代の顔のようで、羽は花模様、足は四足動物のそれ、尾の先の足跡のようなかたちは、豆粒ほどの人物の行列でした。様々な時代や様式と、絵画へのアンビバレンツな感情もあふれていて、謎解きのように見入ったものです。タイトルにも、牡丹流の諧謔のセンスが隠されています。モチーフには、日本のお神輿や紅白幕、花鳥風月、女の子の黒い服などが現われ、現代絵巻物のような、夢の一場面のようなよるべなさと、底なしの壺中に惹き込まれていくような異界感覚をも伝えてきます。 今展では、初めて薄墨色の背景色の絵画作品があらわれ、「逃げる絵画」というテーマでインスタレーションが仕組まれます。 |
INAXギャラリー2 TOP PAGE |
INAX アート・ニュース 展覧会パンフレットに 記載されているリリースです |
INAXギャラリー2 2004年 展覧会スケジュール |
ページのトップに戻る |
| mail:xbn@i2.inax.co.jp (件名・メールタイトルは必ずお書き添え願います ) | Copyright(C) INAX Corporation All rights reserved. 本ウェブサイトからの無断転載を禁じます。 |